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『ミライチズ』(夜のひと笑い)の音域 [2021年の作品]

 こんにちは。今回は夜のひと笑いの『ミライチズ』(2021)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。今回は自選曲になります。再生回数が非常に伸びている人気曲ですが、男性ボーカルと女性ボーカルがほぼ同じ旋律を歌唱している点が面白いと思い、今回取り上げてみました。


『ミライチズ』(夜のひと笑い)、Mirai Chizu(Yoru no Hitowarai)
『ミライチズ』(夜のひと笑い)の音域






【地声最低音】mid1F#(F#3) ※2番のAメロ

m1G[す]れ違う金曜日 口m1G[をき]かない土曜[日]【Aメロ】
m1G[曖]昧になって[く]理由
m1G[愛は]育つのm2G[が]m2F#[お]そいらしい【Bメロ】

★思い出がよみがえる m1Gm1F#[[居]が]楽し[み][ね]【2番Aメロ】


【地声最高音】hiD(D5)  ※1番サビで1回

★(忘れないように)螺旋階段hiB[の]hiD地[ゆ]hiA[う]B[焼]【1番サビ】

※男性パート。なぜかここだけ地声でした。裏声でもよい


【裏声最高音】hiD#(D#5) ※ラストサビで1回

★(この先何十年 繋がっていく)hiB[み]jhiDhiD#[ら[い]B[地]hiA[ぃ]【ラストサビ】

※二人で歌っている場面です。


【補足】mid2G(一部のみ)hiDを含むフレーズ一覧

★ほらほら言m2G[葉]m2F#[に]してよ もう1回【Bメロ】

★愛hiB[し]hiA[て]m2G[る] AB[聞こ[え]て][る?]【サビ】
★君の番 hiA[あ]hiB[い]m2GA[し[て]る]
m2G[風]の日も[雨]の日も ひとhiA[わ]hiB[らい][し]A[ま][しょ] 

★(この先何十年) 繋がっていくhiB[み]hiD裏[ら]hiA[い]B[地]【2番サビ】

m2G[伝えたい] 支えhiAhiB[たい 見[て]い][たい]【Cメロ】
★(一緒に映画を見て泣きたい) hiA[き]hiD裏[み]hiB[と]
★変わらないことはhiD裏[た]hiBhiA[だ][と]つ hiAhiB[き[み]が]好き

 まず、「夜のひと笑い」について少し説明します。「夜のひと笑い」はネットを中心に活躍するユーチューバーです。男性のこうくんと女性のいちえさんの2人で構成されており、いわゆるカップルYouTuberです。元々はTik Tokを中心に活躍されておりましたが、現在はYouTubeでも投稿をしており、2021年12月現在、登録者数は160万人を超えております。

 夜のひと笑いはオリジナルソングなども投稿しており、これまでにHoneyWorksによりプロデュースされた『ミライチズ』、『ワライカタ』の2曲が投稿されました。とりわけ男性のこうくんがかなりの高音域を駆使しており、いちえさんと同じメロディーを歌唱しております。そうした面でも注目が集まっているのではないかと思います。歌手としても今後が注目される2人であります。


 さて、『ミライチズ』についてです。この楽曲は、2021年にYouTuberの夜のひと笑いによりリリースされたシングル作品です。活動間もないですので、配信限定のシングルであり、アルバムなどには収録されておりません。
 『ミライチズ』は夜のひと笑いのYouTube公式チャンネルでは既に2000万回を超える再生回数を記録しています。ストリーミングチャートなどでも上位にランクインしており、人気歌手顔負けの大活躍を続けております。
 私自身は、同曲をスーパーの有線放送でたまたま耳にして、耳に残りやすい歌詞やメロディーだけでなく、更に男性のキーが相当高いということに驚きました。以前、さユり×MY FIRST STORYのコラボ曲である『レイメイ』(過去記事)で「男女が同じメロディーを分担して歌唱している」という点を指摘しました。今回の『ミライチズ』でも何か発見があるかもしれないと思い、今回取り上げようと考えました。


 『ミライチズ』はミドルテンポのポップナンバーです。作詞作曲編曲、更にイラストをクリエーター集団のHoneyWorksが手掛けております。頭サビで歌メロが始まり、AメロBメロサビと展開していきます。全体的にポップであり、歌詞も二人の仲睦まじさが伝わってきて、温かな気持ちになります。

 『ミライチズ』の音域的な特徴についてです。この楽曲は、男女によるツインボーカルで構成されており、両者がほぼ同じメロディーを歌唱しております。通常、男女のデュエットでは各々が1オクターブずらして同じメロを歌唱するオクターブユニゾンが多く用いられます(もしくは女性が男性より高いメロでハモったりといったこともよく見られます)。
 そのため、この楽曲の男声パートについては、一般的な男性の音域よりもかなり高いレンジを歌唱しております。男性同士の歌唱、もしくは男性1人で歌唱する際は、キーを下げた方が歌いやすいです。調べてみると、男性パートのこうくんはヒゲダンなどの楽曲も歌いこなすことができるようです。

 一方、女性の声域については、一般的な女性の声域の範囲内といえます。ただ、男性と同じメロを歌唱しているということで、J-POPの女声曲の中でも低音寄りだといえます。女性パートは難易度はそこまで高くはないですが、低音域などを中心に安定した歌唱が求められます。高音域が得意な女性や、女性が2人以上で歌唱する場合は、少しキーを上げても良いかもしれません。



 最後に『ミライチズ』の音域についてですが、【地声最低音】mid1F#(F#3)~【地声最高音】hiD(D5)、【裏声最高音】hiD#(D#5)で歌メロディーが構成されております。男性パートについては、一般的な男性の音域よりも高く、女性パートは大よそ一般的な女性の音域の範囲内といえます。以下、見ていきます。

 まず、地声最低音mid1F#については2番Aメロで1回だけ登場します。これ以外では上述のように mid1Gが多く登場します。この辺りは、女性の声域の範囲内ですが、低音の登場回数が多くやや低く感じられるのではないかと思います。高音域が得意な女性などはキーを上げてもよいと思います。
 ちなみに、mid1F#が最低音となる男性曲と、ある程度高い確率で「キーが高めの男性曲」になります。今回は男女のデュエットですが、男性一人の場合は、高音域が得意な方でも相当しんどい曲ではないかと思います。

 一方、地声最高音hiDについては、1番サビで1回だけ登場します。私なりの意見ですが、このhiDは裏声でも全く違和感が無いと思います。ただ、上述のように、同曲はhiD以外でもhiB辺りが地声でかなり多く登場します。そのため、一般的な男性はキーを下げた方が歌いやすいです(ただ、男女デュエットの場合はキーを下げるのは難しいです)。
 ちなみに、女性の場合、高音域は音域的にはそこまで高くないと思います。ただ、女性1人で歌う場合は、サビでhiBが多いですので、意外とスタミナが必要になる作品ではないかと思います(男性ほどはしんどくない)。


 『ミライチズ』のキー調整についてですが、これは①「男女のデュエット」の場合と②「同性のデュエット」のケース、③「1人で歌う場合」でそれぞれ異なります。

 まず、原曲と同じく①「男女のデュエット」の場合は、キーを調整する余地がほとんどありません。原曲よりもキーを下げると女性が歌いにくくなるし、逆に高いと高音域が得意な男性でも相当しんどくなります。

 次に、②の「同性同士で歌う」場合ですが、男性同士デュエットの場合はキーを下げた方が歌いやすいです。逆に女性同士の場合は少しキーを上げた方が歌いやすいといえます。

 最後に、③の「1人で歌う」場合についてですが、男性一人の場合はキーを下げた方が歌いやすいです。 女性が1人の場合については、少し迷うのですが、通常は原曲キーのままの方がいいかもしれません。
 同曲は、元々2人以上で歌うことを想定しておりますので、1人の場合は相当な体力が必要になります。また、1人で歌うと息継ぎのタイミングがほとんど無く、その点で難儀するのではないかと思います。親しみやすい曲調ですが、意外とシビアです。

 『ミライチズ』はカラオケなどで歌いこなすのは大変かもしれませんが、カラオケ等で歌うと合いやすいかもしれません。難易度的には、「同性同士」で歌った方がキー調整などはしやすいです。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。

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コメント

  1. かたおか より:

    ミライチズ、TikTokでバズる系の曲っぽさがよく出てると思います。個人的には歌詞は正直薄いと思いましたが、メロディはすごくいいですね。

    地声最高音HiBといえど、この曲は声を全く張らずに歌いこなしたいので、体感的にはロック系のHiBの曲より高い気がしました。

    • もりっしー より:

      かたおかさんコメントありがとうございます。
      同意です。Tik Tok的な曲ですよね。

      分かります。このポップ感のある発声というのも難しいですよね。
      通常は、この声域を女性と男性が一緒に歌うと、
      男性はかなりロックっぽい尖った発声になりやすいのですが、
      こうくんは柔らかに歌えていてすごいと思います。