なお、同曲は、高音パートの井口理さんと、低音パートの常田大希さんに歌メロが作られております。ただ、多くの部分が井口さんのパートでありますので、基本的に井口さんのパートを中心に言及して行きます。
※ラストサビでは常田さんが主旋律、井口さんを副旋律と私は考えました。今回は、副旋律も含め、井口さんのパートを中心に言及します。【地声最高音】と【裏声最高音】はラストサビの副旋律の部分で登場します。
ラストサビの井口さんのパートは、テレビでのライブの歌唱なども含め分析しております。ライブの場合はボーカルの声が強調されやすい傾向にあり、より聞き取りやすくなります。そのため、今回の音域分析は、原曲だけだと分かり辛い部分があるかもしれません。
『カメレオン』(King Gnu)、Chameleon(King Gnu)
【地声最低音】mid1G(G3)
★幸せそうに笑うから m1G[つられ]てm2F[ぼ]く[も]笑ってしまった【Aメロ】
※厳密にいうと、mid1Dが登場する場面があるのですが、重要度はかなり低いので今回は除外
※常田さんのパートはラストのサビでmid1A(もしくはmid1Cでもよい)
【地声最高音】hiB(B4) ※曲全体で1回
★(迷宮入りの) なんかいなm2G[ミ]hiA–hiA#裏[ス[テ]リ][ー]A–A#–hiB[ー[ー[ー]【ラストサビ[転調+4]】
※ここを除くと転調前のサビで登場するhiA。常田さんの最高音はmid2F
【裏声最高音】hiF(F5) ※ラストサビで1回
★かろhiC#-hiD–hiE–hiF[や[か[に[す]が]た]hiF[をぉぉぉ]変えたのは【ラストサビ[副旋律(井口)]】
【補足】mid2F~hiDを含むフレーズ一覧
★突き止hiB–hiC裏[め[た]い かB–C[な[わ]ない【通常サビ】
★君のm2G#{しょ]m2F[う]たいは 迷宮入りの 難解なミスF地[テ]リー
★m2F[きゅうこ]う[列]車[が]m2G[通]り過ぎた【Aメロ】
★寂れた駅のホームにm2G{は]hiA裏[隙間]風が吹き抜けた
★君の姿はm1D[ど]こにも見当m2F[た]ら[なく]て
★時を経てm2F[通話]画[面]m2G[に う][つ]った君は
★もう僕の知らhiA裏[ない]君でした
☆それすm2G#[ら]hiA–hiB[か[な]わ]hiC–hiD[ない[けど]ぉ]【3回目のサビ[転調前]】
☆隣に僕が居なくm2G[て]m2F–G–hiA地[もぉぉ[ぉぉ[おおお]
★m2G–m2F[き]みの]しょ[う]m2G–hiA地[た[い]は][ぁ]【ラストサビ[副旋律(井口)]】
※☆の2か所は、「【主旋律のみ】での最高音」です。
まず、『カメレオン』についてです。この楽曲は、2022年に4人組ロックバンドKing Gnuによりリリースされたシングル作品です。2月末にダウンロードシングルとして先行配信され、3月にCDシングルとしてもリリースされました。最新作ということもあり、アルバムには未収録です。
King Gnuはアルバム『CEREMONY』以降、『三文小説』(過去記事)、『BOY』(過去記事)、『一途』(過去記事)といった人気曲をリリースしております。ファンとしては、「そろそろ、新しいフルアルバムなのでは」と待ち遠しくなる時期かもしれません。
さて、『カメレオン』は田村由美さんの同名漫画を原作としたテレビドラマ『ミステリと言う勿れ』のために書き下ろされました。田村由美さんは1983年より漫画家として活動を開始し、これまでに『BASARA』、『7SEEDS』といった人気作を世に送り出しております。
『カメレオン』はゆったりとしたテンポのバンドナンバーです。クラシカルな趣があり、井口理さんの美声が活きたナンバーです。また、低音パートを担当する常田大希さんの声にはエフェクトがかかっており、そうした点においても特異な点といえます。このエフェクトがかかったボーカルが後半に見られるオルガンとよくマッチしていると感じます。
同曲の歌メロは頭サビで作られており、基本的にはAメロサビで展開します。ラストサビでは転調が行われ、キーが4つ上がります(#4)。ここでは主旋律が低音の常田さんに切り替わり、井口さんが副旋律を歌われております。
ちなみに、ラストサビの部分は、DAMやJOYSOUNDなどの通信カラオケごとに特徴が出ており、DAMでは主に井口さんの副旋律が、JOYSOUNDでは低音主旋律の常田さんのパートを採点の対象としているようです。
『カメレオン』の音域的な特徴についてです。今回はボーカルのほとんどを井口さんがと担当されておりますので、井口さんのパートについて述べます。
同曲は、男性としては高めのレンジで歌メロが作られております(ラストの副旋律は「高い」にといってよい)。一般的な男性の場合は、通常はキーを下げた方が安定しやすいと思います。
また、今回は井口パートは、男性曲としては最低音がmid1Gと高めであります。そのため、女性が原曲キーで歌唱することも可能だといえます。ただ、女性の得意レンジなどから考えると、通常はキーを上げた方がより歌いやすいです。
※ちなみに、常田さんのパートはmid1C[C3](もしくはmid1A[A2])~mid2F[F4]と基本的には男性の音域の範囲内で作られております。そのため、一般的な男性はラストサビでは、常田さんの低音パートの方が合いやすいと思います。
最後に『カメレオン』の音域についてですが、【地声最低音】mid1G(G3)~【地声最高音】hiB(B4)、【裏声最高音】hiF(F5)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりも高いです。以下、見てきます。
まず、地声最低音mid1GはAメロで登場します。登場回数としては少なめです。この辺りは一般的な男性の音域の範囲内であり、発声自体もそこまで難しくないと思います。
ただ、地声最低音がmid1G辺りになる男性曲は、基本的に「男性としてはキーが高めの曲」になることが多いです。今回の『カメレオン』も、全体的にmid2F以上の音階の頻度が高く、その点で一般的な男性には少し歌いにくく感じられるかもしれません。
逆に、地声最低音が比較的高い分、女性にとってはアプローチしやすく、低音寄りの声域の女性であれば、原曲キーでも魅力的な歌唱が可能だと思います。一般的な女性でも原キーは可能ですが、通常は、キーを上げた方が歌いやすいと思います。
一方、地声最高音hiBはラストサビで登場します。井口さんの副旋律の部分であり、【難解なミステリィィィィィイイ[イ]hiB】となります。このhiBは短めですので、厳密にこだわらなくてもよいと思います。
ただ、同曲は楽曲の終盤で、【隣に僕が居なくm2G[て]m2F–G–hiA地[もぉぉ[ぉぉ[おおお]】のロングトーンように地声のhiAが登場します。そのため、一般的な男性はキーを下げた方が歌いやすいです。一つの目安ですが、原曲キーから2つ程度下げてみてください。
『カメレオン』は低音域に余地があり、キー下げなどは可能でであります。特に井口さんのパートを中心に練習したいという場合は、より調整がしやすいといえます。歌い慣れた人であれば、自分の得意なレンジに調整することができると思います。
私なりの印象ですが、同曲は『三文小説』(過去記事)、『逆夢』(過去記事)といったKing Gnuの人気のバラード曲と比べると、やや手を付けやすいと思います。ただ、それでも井口さんの繊細な裏声表現などは健在であり、ある程度の難しさはあります(ラストの副旋律を加えるとより難しい)。そのため、歌い慣れていない人向けの楽曲といは言い難いです。
『カメレオン』を原曲キーで歌唱する場合、一つの目安ですが、地声でhiA辺りがしっかり歌いこなせる力が求められます。hiAはロングトーンで登場し、またmid2E~mid2G辺りの中高音域も比較的多いです。
くわえて、King Gnuの楽曲では定番ですが、器用な裏声表現はやはり必須となります。とりわけ、ラストサビで井口さんのパートを歌う場合は、hiFとhiEがコンボになって登場します。そのため、訓練された裏声表現が問われます。原曲キーの場合は、「高音域が得意な男性」、「低音域が合いやすいの女性」などがチャレンジしやすいです。
ちなみに、ラストサビで常田さんのパートを歌う場合は、「地声のhiAや裏声のhiF」などは必須になりません。そのため、その分歌い易くなります。ただ、それでも井口さんのような繊細な歌唱表現を求める場合は、難易度が高くなります。ラストサビでどのパートを歌うかなども事前にしっかり考えておくとよいと思います。
『カメレオン』はKing Gnuらしい難しめの作品ですが、『三文小説』などのシングル曲と比べるとチャレンジしやすいといえます。また、歌いこなせると非常に気持ちが良い曲ではないかと私は感じました。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。
コメント
リクエストに応えていただきありがとうございます!
こちらこそ、リクエストありがとうございます。
ラストサビの調査は大変でしたが、学びの多い調査となりました。
気になっていた曲なので調査してくださって嬉しいです!
裏声の箇所が歌うの難しそうです。
あとUVERworldのリクエストって何曲くらい来てますか?
コメントありがとうございます。
今数えてみましたが、ウーバーは15曲くらい来てます。
かなり多いです。
めっちゃいい曲ですよね。鬼リピしてます(笑)
常田さんのm1Aまたはm1Cはラスサビのどこの部分か教えていただいてもよろしいでしょうか。。
すみませんどうしても気になったもので、、
ラストサビ頭の「突き止めた[い]叶わない」の部分ですね。
もしかしたら副旋律かもしれません。