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『歌ウサギ』(スピッツ)の音域と感想

 こんにちは。今回はスピッツの『歌ウサギ』(2017)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。

『歌ウサギ』(スピッツ)、Uta Usagi(Spitz)


【地声最低音】   mid1E(E3)  

★君と繋い[だから](サビ)


【地声最高音】  hiA(A4)  

★そんなどうでもいいhiA[う]mid2G#[た]mid2F#[で]はなく(Cメロ)
[うた][い]hiA[つ][づ][ける]



【補足】つまずきやすいmid2F#,mid2G#

★今歌うのmid2F#[さ] ひどくぶざ[ま]だけど
★清々しいだ[ら]mid2G#[く]
★「何か[を][さ]がして何処か[へ行]こう」とか


『歌ウサギ』(スピッツ)










 まず、『歌ウサギ』についてです。この楽曲は2017年にスピッツによってリリースされた楽曲です。シングル曲ではなく、2017年にリリースされたベストアルバムの収録曲としての発表です。『歌ウサギ』は映画『先生!、、、好きになってもいいですか?』のために書き下ろされた作品です。原作者で漫画家の河原和音さんは、原作漫画の連載当時にスピッツの楽曲を聴きながら、構想を膨らませたそうです。
 『歌ウサギ』は配給会社のワーナーブラザースのYouTube公式チャンネルで公開されています。Cメロを一部省略しており、フル配信ではないのですが、450万回もの再生回数を記録しております。

 『歌ウサギ』のサウンドについては、アコースティックギターのイントロから始まり、サビで一気にバンドサウンドが登場します。特徴的な点としては、メロディーの構成が挙げられると思います。一般的なJ-POPでは(Aメロ、Bメロ、サビ)が2回続いて、Cメロサビといった構成が典型であり、映画やドラマなどのタイアップでは定番の構成です。しかし、『歌ウサギ』では(Aメロ、サビ)が2回続き、(Cメロ、サビ、Cメロ、Aメロ)という構成になっております。文字だけ見ると、非常にサビが多いように見えますが、『歌ウサギ』ではサビよりもむしろCメロが印象的な働きをしています。

 そうした点で、あまり見ない独特な楽曲構成であります。このメロディー構成の良い点は全体としてスッキリした構成になるという点だと思います。映画やドラマのタイアップ曲はドラマティックなのですが、反面、時に大げさにも感じます。また、演奏時間も長めになりがちです。そうした従来のJ-POPの構成に対する別の形のアプローチと言えるかもしれません。

 『歌ウサギ』の歌詞については、恋愛映画の書き下ろしということもあり、恋の喜びを歌った楽曲です。一方で、恋による滑稽さといったものも強調して描かれています。恋愛というものは美しく描かれがちです。しかし、一種の盲目的な状況でもありますので、時に青臭さを伴った恥ずかしい行動などを取ったりもしてします。人によっては、「初恋が黒歴史」みたいな人もいるかもしれません。この『歌ウサギ』ではそうした恋の美しくない部分も優しく包み込んでいます。

 個人的に面白いと思った歌詞は「どんだけ修正加えてみても美談にはならない」というAメロのフレーズです。恋に対する不器用な振る舞いが描かれていると思います。これは、恐らく本人だけではなく恋愛の相手もそうでしょう。自分自身の経験もそうですが、恋愛映画・漫画などでも相手に対して器用に振る舞えない姿が描かれます。そうした点こそが、恋の妙味なのかもしれません。




 
 さて、『歌ウサギ』の音域についてですが、【地声最低音】mid1E(E3)~【地声最高音】hiA(A4)でメロディーが構成されております。一般的な男性の音域よりは少し高いです。

 注意すべき点は、サビの箇所だと思います。mid2F#,mid2G#といった中高音部がロングトーン気味になっており、ある程度歌い慣れた人でも難易度が高いと思います。「清々しい堕落」のmid2G#部分は裏声でも良いかもしれません。裏声により、楽曲のニュアンスが大きく変化することは無いと思います。

 全体として、男性が歌うにはキーが高めですので、歌い慣れていない人や声が低い方は原曲より2つ程度キーを下げる(♭2程度)と良いと思います。逆に「一般的な音域以上の声質で歌い慣れている」という方は原曲キーでも良いと思います。『歌ウサギ』もそうですが、スピッツの楽曲は音域がそこまで広くないので、キーを下げて練習するのもアリだと思います。


 『歌ウサギ』は女性が歌っても良いと思います。声が低い女性は原曲キーでも良いと思いますが、一般的には少しキーを上げた方が良いでしょう。

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