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『まつり』(藤井風)の音域 アルバム『LOVE ALL SERVE ALL』収録

こんにちは。今回は藤井風さんの『まつり』(2022)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。今回はリクエストによる選曲です。
 なお、今回はボーカルが重ねられている場面があり、一部メロが分かりにくい部分もあります。そのため、一部不正確な部分があるかもしれません。

『まつり』(藤井風)、Matsuri(Kaze Fujii)
『まつり』(藤井風)の音域






【地声最低音】lowG#(G#2) ※登場頻度は高い

★愛lowG#[し]か感じたくもm1B[ない] もう何の分け隔てもない【Aメロ】
lowG#[そ]m1B[の]G#[じ]た心 今こじ開けm2C#[な]【Bメロ】
m1C#[何も知ったこっちゃ]lowG#[ない]【サビ後半】

※出せるに越したことは無いが、低音が苦手な方は気にしすぎなくてよい

【地声最高音】mid2G#(G#4)  ※曲全体で2~3回程度

★っしゃ っしゃ っしゃm2E[っ] m2F#[っしゃ][ぁ]m2G#F#[あ]ぁ]【2番Aメロ】
☆肩落とすこた一切ない ない ない ⇐地声m2G#,m2F#辺りが登場【ラストサビ】

※☆の部分は主旋律が分かりにくいので、大まかな分析に留めております。

【裏声最高音】mid2G#(G#4) ※2番Bメロで1回

m2F#裏[生ま][ゆ][も]m2G#[の][死]にゆくもの【2番Bメロ】

※ラストサビのフェイクでhiBが登場(恐らく副旋律扱いです)

【補足】mid1B,mid2D#mid2E辺りを含むフレーズ

m1B[い]まなら全て受け止めるかm1C#[ら]【Aメロ】
★で、一体何がほしいm1C#[わ]m1B[け] (Yeah)

m1C#[は]m2C#[ま]つり m1B[な]つ祭り【Bメロ】

m1C#[ま]つり [ま]つり 毎日愛しき何[か]m1B[の] 祭り【サビ】
m2C#[比べる]ものは何m2D#[もない] 
★勝ちや負けとか一m2E[切な]m2D#[ぁ]ぁぁい

★冬の厳しさ骨身に沁m1C#[み]m1B[た]【2番Aメロ】
★みな抱きしめたら踊りなさいな さいなm2E[あ]【2番Bメロ】

 まず、『まつり』(Matsuri)についてです。この楽曲は、2022年に男性シンガーソングライターの藤井風さんによりリリースされたアルバム『LOVE ALL SERVE ALL』(ラヴ・オール・サーヴ・オール)に収められております。同アルバムには、『きらり』(過去記事)『燃えよ』(過去記事)『旅路』(過去記事)、『青春病』いった人気曲が収められております。

 その中で、『まつり』はアルバムのリード曲として、先行配信されたシングルであります。アルバムの発売に先立ち、ミュージックビデオも公開されており、現在260万回もの再生回数を記録しております。また、ストリーミングランキングなどでも上位に位置しており、藤井さんの注目度の高さがうかがえます。


 『まつり』はミドルテンポのR&Bナンバーです。全体として穏やかさな作品であり、またどことなく中毒性も感じられるポップです。また、藤井さん自身のボーカルも低音が中心となっており、どことなく緩さが感じられます。和のテイストを感じさせるイントロなども印象的です。作詞作曲は藤井さん、編曲にはYaffleさんが携わっております。
 歌詞については、タイトルにもあるように「まつり」がテーマとなった作品であります。ただ、私自身は、「まつり」というものを超えて、「日々の日常」や「いつものあなた」にもスポットが当たっている作品だと感じました。民俗学者の柳田國男さんが見出した日本人の伝統的な世界観に、「ハレとケ」というものがあります。「ハレ」は祭りや年中行事などの非日常を意味し、「ケ」は日常の生活を意味します。藤井風さんの『まつり』については、「ケ」の部分も含めた世界観になっているのではないかと私自身は感じます。

 『まつり』の音域的な特徴についてです。同曲は、一般的な男性の音域の範囲内で歌メロが作られております。ただ、細かく見ていくと、全体的に低音域が頻出する傾向にあり、今回の音域一覧でもlowG#やmid1B,mid1C#などをピックアップしました。そのため、どちらかといえば低音域に魅力がある男性に合いやすい作品といえます。当然、歌いこなすには力量が必要ですが、高音域が得意でない男性でもチャレンジしやすい音域です。
 逆に高音域が得意な男性にとってはやや歌いにくく感じられるかもしれません。また、女性にとっても歌いにくく、工夫が必要になります。


 最後に『まつり』の音域についてですが、【地声最低音】lowG#(G#2)~【地声最高音】mid2G#(G#4)、【裏声最高音】mid2G#(G#4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域の範囲内であり、低音が低めです。以下、見ていきます。

 まず、地声最低音lowG#は楽曲全体を通してみられます。同曲は低音域が目立つ作品ですので、lowG#なども発声できるに越したことはないです。ただ、低音が苦手な方などは厳密にこだわらなくても良いと思います。ちなみに、フェイクも含めると、lowD#より低い場面があります。

 一方、地声最高音mid2G#は2番のAメロ等で登場します。登場回数は2~3回程度です。このmid2G#辺りになると、歌い慣れた男性でもスムーズな発声が損なわれやすくなります。ただ、『まつり』はmid2E以上の登場回数自体はそこまで多くないですので、何とか頑張りたいところです。高音域が苦手な方は若干キーを下げるのもよいと思います。


 『まつり』は低音域が低く、キー下げの余地は多くありません。低音域が非常に得意な方が少しキーを下げるといった調整になるのではないかと思います。音域自体は広めであり、やはり歌い慣れた人向けの楽曲になるのではないかと思います。
 同曲は音域だけを見るとビギナーでも取っつきやすい部分があるのですが、藤井さんの歌唱、抑揚の付け方などを考えると、初心者向けではないと私は考えました。

 『まつり』を原曲キーで歌唱する場合、mid2G#といった高音域を発声できることが求められます。同曲は通常のJ-POPで多く登場するmid2D~mid2G辺りの登場頻度は非常に少ないと言えます。そのため、高音域については、比較的アプローチしやすく、標準的な音域の男性にも挑戦しやすい作品です。
 反面、メロの大部分はmid2A以下の低音域であり、「低音部分が魅力的に歌唱できるか否か」がキーポイントになる作品でもあります。そのため、「標準~低めの音域の男性」などが原曲キー合いやすいのではないかと私は考えております(高音域が得意な人も歌えなくはないと思います)。

 『まつり』は中毒性のある緩いポップナンバーで、カラオケなどでも楽しめる作品なのではないかと思います。私自身は、歌詞やアレンジなども含めて特に耳に残っている作品です。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。

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コメント

  1. 名無しA より:

    ありがとうございました。出たばかりの名ヒット曲で自分にもだいぶ歌いやすいものが出てきて嬉しいです。

    勘違いかもしれませんが、自分は藤井さんの歌声を聞いててAメロの
    「い」まなら全て受け止めるから
    の「い」が最低音だと予想してました。自分は低域が広めなのでこの箇所をlow域(lowEくらい?)を意識して歌ってみるのもいいかな、と思うんですがどうでしょうか?

    • もりっしー より:

      名無しAさんありがとうございます。
      ポップスだと高音域が得意な人が目立ちやすいですが、
      藤井風さんは、低音も魅力的なボーカルという点で、特徴的ですよね。

      名無しAさんの推察通りです。
      藤井さんも【「い」まなら全て】の「い」はlow域⇒m1Bと上がるように
      歌われているのです(カラオケなどではm1Bで判定されると思いますが)。
      自身が歌う際は、low域を意識する感じで正しいです。

  2. 名無しA より:

    なるほど、ありがとうございます。せっかく気付けたのでやってみようと思います。

    低音域を厳密に調査するのって結構大変そうですね。以前チャゲアスのOn Your Markの低音についてしつこく伺ってしまいましたが、(自分は楽器は全然やらないんですけど)ピアノアプリで鍵盤を触ってみたら、鍵盤だと確かにあの曲の最低音はmid1C#になるみたいです。でも、他の最低音mid1C#の曲とはなんか違うなぁと感じたりもするので、深く考えると一筋縄でいかないものなのでしょうね。

    藤井さんにせよASKAさんにせよ、歌手ご本人の歌声をしっかり聴き込んで真似してみて納得できるようになればいいのかな、と思うようになりました。

    • もりっしー より:

      私もOn Your Markが頭によぎりました。
      あの曲もカラオケのバーに合わせると雰囲気が出にくい曲ですよね。
      原曲を聴き込んで、lowからしゃくるように歌う必要がありますよね。
      チャゲアスは、90年代のダブルミリオン2曲のイメージが強いですが、
      今後、またほかの曲にも再評価がされるデュオだと思います。