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『ドレス』(BUCK-TICK)の音域 [ 1993年の作品 ]

こんにちは。今回はBUCK-TICKの『ドレス』(1993)を取り上げたいと思います。よろしくお願いします。今回はリクエストによる選曲です。当ブログで、BUCK-TICKの作品を取り上げるのは今回が初となります。


『ドレス』(BUCK-TICK)、Dress(BUCK-TICK)
『ドレス』(BUCK-TICK)の音域







【地声最低音】mid1A#(A#2) 

★鏡の前できm2C[み]とまどろむ 薄紅のm1A#m1C[ゆ]び]1C[き]【Aメロ】


【地声最高音】mid2F(F4)  ※曲全体で12回(6場面)

★あのm2Fm2D#[空][と]m2D[浮]かぶは[ね][な]い なぜ【サビ】


【補足】mid2Cmid2D#を含むフレーズ一覧

m1D[あの]日 君と約束を 交わm2C[し]た 今は二人 想い出m2C[せず]【Bメロ】
★今は二人 想い出せず m2D#D[oh] oh]
★僕m2D[は]なぜ 風Dm2D#[の[よ]うに] 雲の様に【サビ】

 まず、BUCK-TICK(バクチク)について少し説明します。BUCK-TICKは1985年に結成、1987年にメジャーデビューしたロックバンドです。1988年にリリースされたアルバム『TABOO』がチャート1位を記録し、広く知られるようになりました。1990年にリリースされた『悪の華』が50万枚近いCDセールスを記録し、その地位を確固たるものにしていきます。
 BUCK-TICKの音楽ジャンルとしては主にゴシック・ロック、ポスト・パンク、インダストリアル・ロックなどにあたります(活動歴が長く、様々なジャンルにチャレンジをされてますが主として)。BUCK-TICKは、DEAD ENDやX JAPANなどとともに音楽性やファッションなどの面で、「ヴィジュアル系」と呼ばれたロックバンドに多大なる影響を与えました。2019年には、アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』のEDテーマを担当する等、今もなお勢力的な活動を続けております。2022年現在まで、メンバーチェンジなどもなく、継続的にライブ活動を行っている大御所のバンドの1つです。


 さて、『ドレス』についてです。この楽曲は、1993年にロックバンドBUCK-TICKによりリリースされたシングル作品です。アルバムとしては、同じ年にリリースされた『darker than darkness -style 93-』(ダーカー・ザン・ダークネス -スタイルナインティスリー-)に収められました。同アルバムは、一般的にはやや取っ付きにくいかもしれませんが、ノイジーかつダークで、J-POPの枠に捕らわれない作風であり、個人的にはBUCK-TICKというバンドをもっと深く知りたいと感じたアルバムでした。売上枚数は17万枚を記録しました。

 『ドレス』はBUCK-TICKの中でも高い売上を記録したシングル曲の1つであります。同曲は、2005年には吉田直さんの同名ライトノベルを原作としたテレビアニメ『トリニティ・ブラッド』のオープニングテーマとして起用され、10年以上の時を経て再び脚光を浴びました。同じ年にリリースされたBUCK-TICKのトリビュート・アルバムは西川貴教さんがボーカルを務めるabingdon boys schoolが同曲をカバーしております。BUCK-TICKのの中でも特に知られたシングル曲の1つといえると思います。


 『ドレス』はミドルテンポの落ち着いたバンド曲です。バンドとしてはキーボードを積極的に取り入れた意欲的な楽曲となっております。歌メロは一応、AメロBメロサビといった形で作られておりますが、当時のJ-POPなどと比べても、歌モノというよりバンドの演奏などに主軸が置かれております。同曲は、AメロBメロサビ⇒Bメロサビという展開にも関わらず、演奏時間が6分以上あり、その点でも特徴的です。

 『ドレス』の音域的な特徴についてです。同曲は大よそ一般的な男性の音域の範囲内で歌メロが作られております。低音域がmid1A#と低いため、大きなキー下げには向きにくいです。
 ちなみに、先述のようにBUCK-TICKはヴィジュアル系バンドに多大なる影響を与えましたが、ボーカル櫻井敦司さんの歌唱表現も、同様に大きな影響を与えております。私自身は、今回の『ドレス』はヴィジュアル系のボーカルなどで多くみられる艶っぽい表現を学ぶのに良い楽曲ではないかと感じました。


 最後に『ドレス』の音域についてですが、【地声最低音】mid1A#(A#2)~【地声最高音】mid2F(F4)で歌メロディーが構成されております。一般的な男性の音域の範囲内です(低音が低め)。以下、見ていきます。

 まず、地声最低音mid1A#はAメロで登場します。この辺りは一般的な男性の音域の範囲内といえますが、かなり低めになります。そのため、高音域が得意な男性などはキーを上げてもよいと思います。先述したabingdon boys schoolによるカバーで西川貴教さんはmid1D~hiAのレンジで歌唱されております(原キーより4つ高い[#4])。この辺りも参考になると思います。

 一方、地声最高音mid2Fはサビで登場します。各サビで4回ずつ、計12回の登場です。この辺りは一般的な男性の音域の範囲内で、原曲キーでも比較的歌唱しやすい音階になります。ただ、mid2F辺りは歌い慣れてない人の場合、スムーズな発声が損なわれやすいです。そのため、しっかりと練習に励んでください。

 『ドレス』は低音域が低く、キー下げにはあまり向きません。反面、高音側には余地がありますので、女性や高音域が得意な男性がキーを上げることには向きやすいです。よって、一般的にはキーを上げる人が多いのではないかと私は推測しております。
 先述のように、ボーカルの櫻井敦司さんの歌唱表現はヴィジュアル系バンドなどの表現に大きく影響を与えております。私自身は、歌い手や男性声優の歌唱にも通じる部分があるのではないかと考えております。今回の『ドレス』は高音域がそこまで高くないため、そうした歌唱表現を学ぶ上で参考になりやすいのではないかと強く感じました。

 『ドレス』は落ち着いたバンド曲であり、リズムなどで難しい部分も多くはありません。音域的にも一般的な男性に取っ付きやすく、歌唱表現面での学びも多いと思います。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。

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コメント

  1. 名無しA より:

    ありがとうございました。同じくらいのレンジの歌手の中でも、櫻井さんのボーカルは低音部分が太く力強くてかっこいいなと思います。同じm1A#-Dあたりの音でも難易度が歌手によって違うというか。そういうとこも合わせて自分の十八番にしたいな、というところです。

    • もりっしー より:

      名無しAさんコメントありがとうございます。
      櫻井さんの歌声、低音が強くていいですよね。サウンド面でも凄く印象的です。

      今回の調査をきっかけにBUCK-TICKのアルバムを本格的に聴いたのですが
      私自身、興味をそそられるものが多かったです。
      アルバムも多いですのでもっと深めてみたいと感じました。