『姿』( あいみょん ) の 音域

　まず、『姿』についてです。この楽曲は、２０２２年に女性シンガーソングライターのあいみょんさんによりリリースされたアルバム『瞳へ落ちるよレコード」に初収録されました。同アルバムには、『裸の心』(過去記事)や『愛を知るまでは』(過去記事)、『ハート』(過去記事)、『初恋が泣いている』(過去記事)などのシングル曲が収められております。アルバムは出荷ベースで１０万枚以上のヒットを記録し、日本レコード協会よりゴールド認定がなされました。

　さて、『姿』はスローテンポのラブソングです。リリースから１か月ほどして、結婚情報サービス『ゼクシィ』の新CMソングとしてのタイアップも付きました。そうしたこともあってか、メロディアスで耳に残りやすく、ボーカルの良さが活きやすいです。
　同曲の作詞作曲はあいみょんさん、編曲はトオミヨウさんによりなされました。トオミヨウさんは近年よく名前を目にする編曲家の一人ですが、あいみょんさんとも縁が深く、『裸の心』(過去記事)といった楽曲のアレンジを手掛けております。


　『姿』の音域的な特徴についてです。同曲は、おおよそ一般的な女性の音域の範囲内で歌メロが作られております。また、低音域に余地があり、キー下げも可能です。
　同曲はサビの一部で裏声が多用されております。裏声と地声が何度も往来するような曲ではありませんが、慣れていないと難しく感じられるかもしれません。器用な裏声の発声が不可欠となります。

　ちなみに、男性が同曲を歌唱する場合、通常はキーを下げた方が歌いやすいです。音域だけを見ると、高音域が得意な男性は原曲キーでも歌えそうな気がします。ただ、男性だと『姿』のレンジはかなり声を張る必要がありますので、原曲のニュアンスには近づきにくいかもです。そのため、個人的にはある程度高音域が得意な男性でもキー下げを推奨します。




　最後に『姿』の音域についてですが、【地声最低音】mid1F#(F#3)～【地声最高音】hiA#(A#4)、【裏声最高音】hiF(F5)で歌メロディーが構成されております。一般的な女性の音域の範囲内です。以下、見ていきます。

　まず、地声最低音mid1F#はAメロの一部で登場します。このmid1F#については、歌い出しの瞬間的な音ですので、私としてはあまり厳密な音程にこだわらなくてもよいのではないかと判断しました。このmid1F#を除くと、低音域はmid1G#辺りがしっかり歌えることが不可欠となります。

　次に地声最高音hiA#については、Aメロ〜サビまで広く登場します。登場回数は２２回と多いです。このhiA#は女性の音域の範囲内ですが、慣れていないとスムーズな発声が損なわれやすいです。ただ、女性としては比較的克服しやすい音階ですので、少しずつ歌い慣れて下さい。
　今回の最高音hiA#はJ-POPの女性曲としてはそこまで高い方ではありませんので、一般的な女性が原曲キーで歌唱することも可能です。一方、高音域が非常に得意な女性などは、もしかしたら少しキーを上げてもよいかもしれません。その辺りは各々実際に歌唱してみて、微調整を加えて下さい。


　『姿』は低音域に余地があり、キー下げは可能です。歌い慣れていない女性、高音域が苦手な女性などはキーを下げるのもよいと思います。同曲は、裏声高音が広く、その分音域も広いです。ただ、裏声に慣れている人であれば、キーを上げることも可能ですので、見た目よりはキー調整の融通が利きやすいのではないかと思います。
　一方、裏声に慣れていない方の場合、サビの高音域が歌いにくく感じられるかもしれません。そうした方は、別の易しめの曲と並行して練習してください。

　『姿』を原曲キーで歌唱する場合、地声高音はmid2F#～hiA#といった音域をしっかり歌いこなせる力が求められます。この辺りは女性の音域の範囲内です。ただ、今回はhiA#の登場回数が多いので、人によっては高音を感じやすいかもしれません。一方、同曲はサビの裏声高音が印象的な作品でもあります。そのため、しっかりした裏声表現が不可欠となります。
　これらを踏まえると、「標準よりやや低めの音域の女性～ある程度高音域が得意な女性」などが原曲キーに合いやすいと私は判断しました。逆にhiE等の「高音域が得意な女性」だと、通常はキーを上げた方がより歌いやすいかもしれません。


　『姿』はスローなバンド曲であり、ボーカルの良さが活きやすい作品です。音域的にも多くの人に取っ付きやすそうですの、練習曲にも向いていると思います。興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。